トゥームストーンバックパッキング ①

いよいよこの日がやって来てしまいました。

トゥームストーンテリトリーパークでのバックパッキングの日です。

出発の2週間前からトゥームストーンの天気を毎日チェックしていたのですが、山というものは恐ろしいほどに毎日予報が変わり(時には数時間でガラッと予報が変わる)、調べていてもほぼ意味無し状態。

仕方がないので、きちっとした計画は前日の天気予報を見るまで決めないでおこう、ということで前日にチェックしたところ当日は午後6時頃から雨予報だったので、その頃にはキャンプグラウンドに着けるよう、トレイル口到着時間を決め、そこから逆算して朝6時に起床。

二日前までは雨予報が午後2時からだったので朝3時には起床して…という話をしていたぐらいなので朝6時になってくれただけ万々歳でした。

このホテルを出たらもう水洗トイレは4日間使用できない…と思うと、ずっとトイレにこもっていたくなってしまうのは私だけでしょうか…。

そんな気持ちとは裏腹に自分でも気づかないうちに身体がナーバスになりすぎていて出るものも出ず、結局後ろ髪引かれながらホテルを後にしました。(なんの話よ)

ドーソンシティーから車で1時間半ほどの距離のトゥームストーンパークへ向かいます。

こちらがDempster Highway

Klondike HighwayをWhitehorse方面に少し南下した後北極圏に向かうDempster highwayに入りさらに車で1時間ほど北上すると、着きました…。ついに夢にまで見たトゥームストーンです…。

朝早くの出発だったこともありDempster Highwayに入ってからすれ違う車はゼロ。おかみの友達曰くDempster Highwayは神の聖域らしくここに踏み入れた瞬間ピリっとしたものを感じるとか。その言葉通り途中で崖から落ちたと思われる車を発見…。めちゃくちゃ怖いんですけど…。

私たちは無事トレイル口の駐車場に到着。

車はたった3台ほどしか停まっておらず、その横に停車。

ついにここまで来てしまいました。もう引き返せません。

ハイキングトレイルの入り口にはおなじみクマ注意勧告と、カラスが空をぐるぐるしてたらそこには動物の死骸があるから注意の張り紙。

本当に野生動物がいっぱいいるであろうことをたやすく想像できますね…。まぁなんせ今から向かうキャンプグラウンドの名前がGrizzly Lakeですからね…。

まぁクマに出会う時は出会うだろうし、今回はベアスプレーがあるので万が一出会ってしまっても大丈夫でしょう。(と信じたい)

重さ約8キロのバックパック

大きく深呼吸してから最初の一歩を踏み入れます。

ついに始まるんですね…。この旅が…。

曇り空の下トレイル口を出発しました。

この辺は”トレイル”というだけあって普通のハイキングトレイルのように道がしっかりとあります。

昨日まで降っていた雨のせいで所々かなりぬかるんでるところも。

絨毯みたいな色の地面。なんなんだろうコレ
ジブリみたいな白いコケのようなシダ植物のような…
キレイなきのこ

トレイルに入ってすぐ、トゥームストーン固有種とでも言わんばかりの色彩の植物や土壌が歓迎してくれます。

これまた写真では分かりにくいですが、当然傾斜があります。この辺りはそこまでキツイ傾斜ではないのですが、なんせバックパックが重いので、普段よりさらに傾斜を感じますね。

歩き始めてすぐ山のプロおかみから山の歩き方についてのレクチャーがありました。

まず

  1. 心拍数を130から140ぐらいに抑えたペースで歩き続けること。(ペースを上げたりしない)

歩きながら話せるぐらいのスピードです。

厳密に言うと(220 – 年齢 × 0.75)の計算で出た数値の心拍数を保ちながら歩くことで疲れにくくなるそう。

これはどういうことかというと、ペースを上げてはぁはぁ息を切らしてしまうと、血中の糖度からよりも早く、骨や筋肉から糖度を使ってしまって、それらの疲労を引き起こして身体が疲れてしまうとか。

ほうほう。イキってぐんぐん進むのは疲労と筋肉痛を招くのか……だから修行名目で頑張ってしまったレインボーレイク、あんなに疲れたのか…と納得。

ということで、ペースを落とす分にはいいけど、ペースを上げてはぁはぁ激しく息を切らしたり急いだりしてはいけない、とのことです。

次に

  2. BCAA(必須アミノ酸)を1時間に一回ほどのペースで摂取する

こちらも運動によって失われる血中糖度を一定に保つためと、筋肉から糖度が使われないようにするために定期的に(1時間おきぐらい)BCAAを補給してあげると筋肉の損傷を防いで筋肉痛や疲労を軽減してくれるそう。

詳しくはこちら

とりあえずこの二つを守っておけばとんでもなく疲れ果てて動けなくなる、みたいなことは起きないそう。

BCAAはパウダータイプなのでスプーン一杯分を口に放り込んで水をクイッと流し込む方法で約1時間おきぐらいに摂取する予定で歩き始めてすぐ最初の一杯目をいただきました。味はフツーの粉。

歩き始めて20分後ぐらいに他のトレイルでもあるような川が登場。

この川の周りにコロコロしたムースかカリブーのものと思われるウンチを発見。

参考までに

どうやら本当にこの辺ムースとかカリブーとかいるっぽいです。

川があるので水飲みに来るんでしょうね。ここに一日中いたら会えそうですが、そういうわけにも行かないので先へ進みます。

この辺まではトレイルが木の階段ぽくなってました。

歩き始めて1時間ぐらいは黄色や赤に色づいた自分と同じぐらいの背丈の木が左右にわんさか生えていて、「キレイだな〜」というレベルの感想。

傾斜のある道をさらに1時間進むとかなりの高台に到達。

いや〜本当にキレイです。息を呑む美しさとはこのこと。

ここまで来ると車を停めたパーキングが豆粒のような小ささになって遠くに見えていました。

ああ。もう引き返せない。。と後悔にも似た感情が押し寄せましたが、まさかこんなにキレイに紅葉してるとは夢にも思っていなかったので、来た甲斐ばりばりです。

グリズリーレイクのキャンプ場まではまだまだ着きませんが、この高台まで紅葉を見にデイハイクで来てた人たちもいました。

デイハイク…いいな…とちょっと思ってしまいましたが、いやいやキャンプしなかったら意味ないでしょ。(意地)

山を登るにつれて気温が低くなるので上に行けば行くほど木がどんどん低くなっていきます。

この高台を抜けるとステージが変わったかのように、急に木が減ってゴツゴツした岩の地面エリアに突入

と、この時点で出発して2時間ほど歩き続けていて、朝ごはんを軽くしか食べていなかった食いしん坊の私はすでに燃料切れ。BCAAを摂りつつ早めのおにぎりタイムです!

こんな大自然を目の前におにぎりが食べられるなんて、こんな幸せなことがあっていいのだろうか…(涙)

何度も言いますが、ユーコン州の景色はBC州で見られる景色とは全く違うので、本当にここまで来ないとこんな景色見られなかったと思うと感動もひとしお…。

バックパック経験ゼロの存在で(しかもこのコロナ禍に)本当にユーコンまで来ちゃう私も私ですが、そこはフットワークの軽さが自慢の私の良いとこでもあります。(と思いたい)

この旅に来るためにアウトドアグッズ(寝袋だのバックパックだの)につぎ込んだお金は$1000近く。

ちゃんと元取れるように存分に楽しまないと。

ただ今回はここからが勝負です…。おそらくまだまだ着きません。

なんせこのトゥームストーン、バックパッキングに関しての情報や写真がかなり限られていて(というかほとんど無く)、おかみも来た事がないもんで、一体あとどれぐらいで着くとか、どういった道で、どういった傾斜で、とかが未知数でした。

ここまではデイハイクで来る人もいるぐらいなのでちゃんとしたトレイルでした……。

おにぎりを食べ終わって、再び歩き始めると、”登山”と言う名にふさわしい道のりが待っていました。

ゴロゴロの岩を飛び越えるようにして進む道のりがまぁまぁ傾斜で、息が上がり始めました。

こんなこともあろうかと、今回初めて使ったハイキングケーン(ポール)がこういった傾斜のあるトレイルではバックパックの重さで後ろや横に倒れそうになってしまう身体を支えてくれて大助かり。

身体を自分の体重だけで支えなくていいので膝への負担を大幅に軽減してくれていると実感。

とにかくここからは傾斜と足元の悪さが同居するエリアに突入したようで、足をくじいたり転んだりする事がないよう慎重に進んでいきました。

ここから歩く事1時間。

ようやっと彼方向こうに今日のゴールであろうグリズリーレイクを目視できる距離にまで到達。

遠くに見える青い山の麓がグリズリーレイク。

ただ、本当に遥か彼方なので一体あとどれぐらいで着くのかはこの時点では未だにナゾでした。

さらに1時間歩いても足元の悪い状況が続いていて、ハイキングというよりは”岩歩き”って感じでしたね。

道にはこうやって岩で作られた目印が所々に置いてあり、ハイカー達を正しい方向に導いてくれます。

どこに目印があるか分かりますか?

突然進む先に大きな岩の山が現れ、「え!これ登るの!?」とひるんだ瞬間に山の洗礼を受けました。

さっきまで青空だったのに急に吹き荒れる風、雨、霧。

急いでレインパンツを履いて、バックパックにもレインカバーをかけました。

めちゃグレーの空

このエンマ様の住みかのような岩山を霧の中えっちらおっちら登っている時に後ろからすごい速さで歩いて来る強そうなお姉さんが。

どうやらパークレンジャーの方らしく、今日どのキャンプ場に泊まって、ちゃんと予約がされてあるかと、ベアバレル(熊が壊せない構造の食べ物を入れる硬くて重いバケツ型フードストッカー)を持っているかの確認をされました。

この時にこのお姉さんにここぞとばかりにあとどれくらいで着くのか、この先はどんな感じの道のりなのかを尋ねてみると、なんと

「ここはまだ半分も来てないよ。あと1時間ぐらい歩いたら小川が現れるからその辺りが半分。ここからならあと4時間ぐらいで着くんじゃないかな。この辺がグリズリーレイクまでのトレイルの一番標高が高い所だから、傾斜はこの先そんなにキツくないよ。あとは登ったり下ったりの繰り返し。」

とのこと。

エーーーーーー!まだ半分も来てないの!?( ;∀;) 

そしてあと4時間!?

続きは➁で!

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